UXデザインプロセスは、UXデザインの設計において基本となる考え方です。UXデザインプロセスを明確にすれば、よりよいUXデザインを実現しやすくなります。
この記事では、UXデザインプロセスについてくわしく解説します。UXデザインを構成する要素やUXデザインプロセスの具体的なステップについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
目次
UXデザインとは
UXとは、製品やサービスから顧客が得る体験です。「User Experience」を略し、UXと表現されています。UXデザインとは、顧客がよりよい体験をできるようデザインすることを意味しています。魅力的な顧客体験を提供するには、製品、サービス、システムなどのUXデザインが重要です。
UXデザインが求められる背景
現代では多くの製品やサービスが存在しており、差別化が難しくなっています。そのような状況では、物理的な価値よりも体験によって得られる価値を重視する顧客が増えました。顧客がよりよい体験を得られる製品やサービスを提供すれば、継続的に利用してもらえる可能性も高まります。そのためには、UXデザインに特にこだわることが重要です。
UXデザインを構成する7つの要素
優れたUXデザインを構築するには、デザイナーのピーター・モービル氏により提唱された7つの要素を重視すべきです。ここでは、UXデザインを構成する7つの要素について、それぞれ解説します。
Useful(役に立つ)
「Useful(役に立つ)」とは、ユーザーにとって製品やサービスが有用であることを示しています。ユーザーは何らかの目的に基づいて製品やサービスを求めているため、選ばれるにはユーザーのニーズを満たす必要があります。ユーザーにとって役に立つ製品やサービスを提供できれば、購入される可能性は高くなるでしょう。
Usable(使いやすい)
「Usable(使いやすい)」とは、ユーザーがストレスを感じずに製品やサービスを利用できる状態です。たとえば、Webサイトの見た目を整理して分かりやすくしたり、気軽に質問できる問い合わせ対応を実現したりする必要があります。実際に利用するユーザーが使いやすいと感じられるようなUXデザインを心がけましょう。
Desirable(好ましい)
「Desirable(好ましい)」とは、ユーザーが製品やサービスに対して抱く好感のことです。ユーザーが好むデザインを採用すれば、製品やサービスに対する印象もよくなります。そのためには、ターゲットとなるユーザーの趣味嗜好の傾向を把握したうえで、どのようなデザインが適しているか分析する必要があります。
Findable(探しやすい)
「Findable(探しやすい)」とは、製品やサービスをユーザーにとっていかに見つけやすくするかを意味しています。ユーザーにとって魅力的で優れた製品やサービスを開発しても、ユーザーが見つけられなければ購入には至りません。ユーザーが迷わずに自社の製品やサービスにたどり着けるよう、UXデザインを工夫しましょう。
Accessible(アクセスしやすい)
「Accessible(アクセスしやすい)」とは、どのようなユーザーでもスムーズに製品やサービスを利用できることを示しています。たとえば、文字だけでなく、音声やイラストなどで製品やサービスの使い方を説明すると、目が見えない人や日本語が分からない外国人などにも理解されやすくなります。
Credible(信頼できる)
「Credible(信頼できる)」とは、製品やサービスに対する信頼性です。ユーザーが製品やサービスを信頼すれば、継続的に利用してもらえる可能性が高まります。仮に製品やサービスの信頼度が低いとユーザーが判断した場合、利用してもらえない恐れがあるでしょう。数ある製品やサービスの中から選んでもらうには、信頼できるかどうかも重要な要素です。
Valuable(価値がある)
「Valuable(価値がある)」とは、製品やサービスを通して価値のある体験を提供することを表しています。ユーザーにとって価値がある体験を提供できると、顧客満足度が高まります。その場合、同じ製品やサービスを何度も繰り返し利用したいと感じるでしょう。単なる金銭的な価値だけでなく、ユーザーが求めるさまざまな側面から価値を提供する必要があります。
UXデザインプロセスとは
UXデザインプロセスとは、価値のあるUXを生み出すためにデザイナーが取り組むべきプロセスです。ユーザーにとって価値のある体験を提供するには、ユーザーの課題やニーズを把握したうえでさまざまな分析を重ねる必要があります。また、構築したUXデザインをテストして試してみる工程も重要です。
ただし、UXデザインプロセスにおいては、万能なアプローチの仕方はありません。個別のプロジェクトによっても効果的なプロセスは異なるため、臨機応変な対応が求められます。
UXデザインプロセスの基本的な6つのステップ
UXデザインプロセスのアプローチの仕方としては、さまざまな種類があります。ここでは、一例として6つのステップについて解説するため、ぜひ役立ててください。
1.定義づけ
UXデザインにおいては、ユーザー、プロダクト、ブランドなどについて深く理解するところから始める必要があります。それぞれを把握したうえでユーザーが抱える課題を抽出し、自社のビジネスの目標として何が適切か判断しましょう。
具体的な方法としては、たとえば関係者へのインタビューが有効です。そのうえでコンセプトを策定し、キックオフミーティングにより認識を共有しましょう。
2.調査
ユーザーがどのようなニーズをもっているか調査します。定性的な情報と定量的な情報の両方を収集し、さまざまな角度からユーザーのニーズを理解する必要があります。ユーザーのニーズを細かく把握できれば、デザインの方向性も明確になりやすいでしょう。
具体的には、ユーザー調査や市場調査などを実施し、ユーザーや世の中の傾向をつかみます。それぞれ幅広い調査方法があるため、状況に応じて使い分けてください。
3.分析
調査によって得られたデータを活用し、分析を行います。分析は、データからユーザーのニーズを抽出するための重要な作業です。分析で得られた結果をもとに製品やサービスをデザインしていくため、特に重要な工程となります。
分析方法としては、たとえばカスタマージャーニーマップの活用やユーザーペルソナの設定などがあります。目的に応じた分析方法を選択し、ユーザーのニーズを明らかにしましょう。
4.デザイン
調査や分析によって得られた結果をもとに、デザインを考えます。製品やサービスの開発に関わるメンバーと協力し、アイデアを出したり仮定を検証したりしましょう。何度も協議を重ねてよりよいデザインを目指します。
たとえば、スケッチ、ワイヤーフレーム、プロトタイプなどさまざまな方法があります。なるべく多くの案を出し、ターゲットとなるユーザーにとって最適なデザインを実現しましょう。
5.テスト
デザインが決定したら、製品やWebサイトのテスト(検証)をしましょう。テストは設定したデザインが想定しているような効果を発揮できるか確認する作業です。
テストの方法としては、社内テスト、ユーザーテスト、ユーザーレビュー、指標分析などがあります。さまざまな角度からデザインを検証し、イメージしているような効果が出るかチェックしましょう。
6.ローンチ
ローンチとは、完成した製品やサービスをリリースすることです。製品の発売やサービスの開始などが該当します。テストで問題がないと判断できたら、ローンチが可能です。
ただし、ローンチしても、製品やサービスに関する作業が完了するわけではありません。ユーザーからのフィードバックを確認し、必要があれば改善を加える必要があります。改善を繰り返せば、ユーザーにとってより価値のある製品やサービスを提供できます。
UXデザインプロセスをより良くするためのポイント
UXデザインプロセスをより良くするためには、再調査やアイデアの試行を行う必要があります。一度の調査で満足するのではなく、デザイナーが後から必要だと感じた場合は、別の角度からも情報を探すべきです。新しいアイデアを得た際は、積極的に試してみるとよいでしょう。
さらに、活発なコミュニケーションも大切です。コミュニケーションによりチームメンバーや関係者とコンセプトを共有し、認識を揃えてプロジェクトに取り組む必要があります。
まとめ
UXデザインプロセスには、さまざまな作業が含まれています。今回解説したUXデザインを構成する要素を意識しながら、それぞれの工程に対応する必要があります。幅広いアイデアをさまざまな角度から検証し、より良いUXデザインを実現しましょう。
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