サービスデザインとは?6つの原則や4つのプロセスについて解説

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2023.08.21
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サービスデザインとは、商品やサービスの価値を顧客視点から新たに創造しつつ、継続的に提供可能な運営体制の構築をすることです。現代は商品やサービスなど物があふれているため、サービスデザインは市場での競争優位性を確保するために大切な要素とされています。

この記事では、サービスデザインの原則やプロセスのほか、サービスデザインで活用できる分析手法などについて解説します。ぜひ参考にしてください。

サービスデザインの概要

サービスデザインは、顧客体験の重視に加えて継続的に提供できる組織や仕組みなど、運営体制もデザインすることで、新たな価値を創り出すための方法論を指します。そのために、商品やサービスを提供する企業の体制の変更、従業員や社内オペレーションの見直しなども含めたサービス向上が必要です。

新規のサービスや商品の開発だけではなく、既存のサービスや商品を改善してより良いデザインにすることにも活用できます。

サービスデザインにおける6つの原則

サービスデザインにおける6つの原則について紹介します。対してBXは、ブランドが関わるすべての体験を対象としています。

原則概要
1.人間中心商品やサービスを使う人の体験を考える
2.共働的であることサービスデザインのプロセスにおいて、価値観や背景を持つステークホルダーが積極的に関与する
3.反復的であること改善などの反復的アプローチに取り組んで実装に向かう
4.連続的であること相互関係にあるとされるサービスに関わる行動は、可視化して統合する
5.リアルであることニーズを調査して、アイデアのプロトタイプを作り、現実に根差した目に見える形に作り上げる
6.ホリスティック全てのステークホルダーのニーズに、持続的に対応するために、サービスや企業全体を把握する

サービスデザインにおける4つのプロセス

サービスデザインは、大きく4つのプロセスに分けられます。ここでは、それぞれのプロセスと詳細について順を追って解説するため、参考にしてください。

1.リサーチ

サービスデザインにおける最初のプロセスはリサーチで、施策の目的に合わせて行われます。具体的には、ユーザー行動の仮説を立てたり参考とする既存の仮説を選択したり、ユーザーや競合他社などを調査して情報収集をします。

さらに、収集できたデータをさまざまな面から分析して仮説を検証し、顧客の価値観や潜在的ニーズである顧客インサイトを把握して、顧客への理解を深めていくことが大切です。

2.アイディエーション

サービスデザインにおけるプロセスの1つとして、アイディエーションが挙げられます。アイディエーションは、ユーザーが抱える問題の解決方法をリサーチや顧客インサイトなどを通して考えたり、新しいアイデアを出したりする段階です。出されたアイデアは複数の視点から分析をした後、種類を付けて分類したり、統合したりしてブラッシュアップをします。

3.プロトタイピング

リサーチやアイディエーションが終わった後のプロセスが、プロトタイピングです。実際にサービスとして展開する前に、試作品を作成して検証をします。検証によって不足点や課題が発見されれば、改めてリサーチからプロトタイピングまでの3つのプロセスを繰り返して、より良い状態へとブラッシュアップを試みます。

4.実装

サービスデザインにおけるプロセスの最後として挙げられることが実装です。充分なリサーチやアイディエーションを経てプロトタイピングまで完了したら、本番環境へと実装します。この際、商品やサービスの品質に限らず、商品の生産体制やサービスの運用体制など、顧客へと提供されるまでの環境を整備することも大切です。

UXデザインやCXデザインとの相違点

サービスデザインと似た概念として、UXデザインやCXデザインなどが存在します。ここからは、それぞれの詳細を交えながら、サービスデザインとの相違点について解説します。

UXデザインとサービスデザインの違い

UXとはUser Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略語で、Webサイトやアプリなどを利用して商品購入するまでの一連の流れ、ユーザー体験のことです。

UXデザインは商品やサービスの利用を通じて得られるユーザー体験に着目します。一方、サービスデザインはユーザー体験に限らず、商品やサービスの提供をする企業の体制や仕組みのデザインまで含まれていることが相違点です。そのため、UXデザインとサービスデザインではマーケティングの目的や対象が全く異なります。

CXデザインとサービスデザインの違い

CXとはCustomer Experience(カスタマーエクスペリエンス)の略語で、顧客体験のことを指します。CXデザインは、商品やサービスを認知するところから購入して使い終わるまでに、顧客が得る体験をデザインすることです。CXデザインでは、顧客満足度を高めるためのプロセスを検討することも含まれます。

ただし、CXデザインは、商品やサービスに対する顧客体験に関連することに対応範囲が限られています。一方で、サービスデザインは対象が顧客体験に限定されておらず、従業員や組織なども含まれていることが特徴です。

サービスデザインで役立つ分析手法

サービスデザインに取り組むにあたり、役立つ分析手法はいくつかあります。以下では4つの手法を取り上げて、それぞれの詳細や活用できる理由などを解説します。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、サービスデザインの設計に役立つ分析手法の1つです。カスタマージャーニーマップは、サービスや商品を認知してから購入し、利用が終了するまで時系列で顧客の行動を可視化したものです。ユーザーの行動を可視化できると潜在的なニーズを把握しやすくなるため、フェーズに合わせて適切なサービスや商品を提供しやすくなります。

その特性上、サービスデザインで活用する場面は、リサーチやアイディエーションなどでのプロセスが多いことが特徴です。

サービスブループリント

サービスブループリントも、サービスデザインで役立つ分析手法として挙げられます。サービスブループリントとはツールの一種です。サービスブループリントを利用することで、ユーザーにサービスが提供されるまでのプロセスにおける、ユーザーとサービス提供者両方の動きを可視化して確認することができます。

顧客体験を提供するにあたり、サービス提供者側のプロセスに問題がないかを確認しやすくなることが、サービスブループリントを利用するメリットです。

ストーリーボード

サービスデザインを構築する際の分析に役立つ手法の1つが、ストーリーボードです。ストーリーボードを活用すれば、サービスを利用した結果、ユーザーにどのような体験がもたらされるのかをストーリーにして視覚化できます。

ストーリーボードは初期段階のアイデアを整理するタイミングで役立ちます。顧客視点でサービスについて考えやすくなり、サービスに不足している要素や誤っている箇所を発見できる可能性が高まるため、改善へとつながりやすいでしょう。

ユーザーテスト・ユーザビリティテスト

サービスデザインで役立つ分析手法が、ユーザーテスト・ユーザビリティテストです。ユーザーテストは、開発したサービスのプロトタイプがユーザーに受け入れられるかを確認するためのテストです。一方、ユーザビリティテストでは、サービスがユーザーにとって使いやすいかどうかをチェックします。

どちらも、ユーザーのフィードバックから改善点を発見するために有効です。フィードバックに対応することで、顧客満足度が向上する可能性があります。また、商品やサービスが完成した後に課題が見つかり、手戻りが必要になるような事態を防ぐことが可能です。

まとめ

多くの競合相手に負けない独自の強みを作り出して、市場での競争優位性を確保することは年々重要性を増しています。サービスデザインを考えることで、顧客の視点で商品やサービスを継続的に見直していくことが重要です。

SHIROは、受賞歴のあるデザイナーや経営コンサルタント経験のあるサービスデザイナーなどが在籍しており、ビジネス面の設計から、業界でも屈指の品質のUX設計やデザインを一般的な価格帯の範囲で実現しています。課題の解決や戦略について見直したい企業の担当者の方は、ぜひSHIROへの依頼をご検討ください。

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KOJI MINOHARA

CEO / Shiro Inc.

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