UXを向上させるためにUXという言葉を使わない

DATE
2020.06.15
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UX大事ですよね。
UXという言葉が広がるのは良いことで、最近ではクライアントからも当たり前のようにUXの向上やUXを意識して〜なんてお話しがでてきます。
ただ少し気をつけないとなと思っているのはバズワード化してしまっていることでして。

UXという言葉が市民権を得たことで、本来のユーザーの体験という部分を深く掘り下げなくなることがケースが増えてきてしまっている気がします。
たとえば、◯◯していれば良いUXだ。みたいな短絡的な考えであったり、ユーザーの理解もせずに、UXデザインでは〜みたいなトレンドや教科書通りの思考停止型になってしまったり。ユーザビリティーとUXを混同していたり。
(ちょっと例えが乱暴ですが、自分自身への戒めも込めて。)

本来UXなんてものは、その言葉が日本で流行りだす前からほとんどの企業やブランドがお客さまやユーザーの気持ちを考えて少しでも良い体験をしてもらおうと考え取り組んでいたことで、当たり前の話なんです。

それがUXという言葉でひとくくりで表現でき、関連する効率的なフレームワークができたことで、自社自ブランドのユーザーの気持ちの真の理解ではなく、教科書通りにペルソナ作ってタッチポイントをどうこうして〜とか、カスタマージャーニーね、ああサービスブループリントね、なんか埋めていけばいいんでしょみたいな感じになってしまっているケースを見かけます。

UX自体もUXデザインという言葉でデザイン領域と勘違いされがちですが、本来UXの設計というのはブランドが、企業が一丸となって考え取り組むべき課題なのです。
(「Design is too important to be left to designers(デザインはデザイナーだけに任せるには重要すぎる)」と言われるように、そもそもデザインの領域をどこまでと定義するかという問題もありますが。)

僕がプロジェクトに取り組む時、このボタンこうしたらUX向上されます。みたいな言い方を極力しないようにしています。「◯◯を◯◯したらUXが向上されます。」ではなく、「◯◯を◯◯することで、ターゲットである◯◯な方がこういった心理状態になり、このサービスを使ったときに、嬉しい気持ちになっていただけます」のように、極力UXという言葉を使わずに具体的にお話しするように心がけています。
そうすることで、流行り廃りの手法ありきのUXではなく、本当にその商品やサービスを利用する方の体験が良くなっているのかを自問自答できる状況を作ることができているような気がしています。

(そういえば「こだわり」や「利便性」とかも同じ理由からあまり言わないようにしています。)

KOJI MINOHARA

CEO / Shiro Inc.

KOJI MINOHARA