Webサイト制作時にクライアントに聞く参考デザインはwebデザインに限定しないほうが良い

DATE
2018.08.01
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Webサイトの制作依頼があった時、クライアントから依頼内容と合わせて希望のデザインイメージをいただくことが多いですが、よく同業他社やイメージの近いWebサイトが送られてきます。

クライアントとしては、当然Webサイトを作るので完成イメージの近いWebサイトや好きなWebサイトなんかを探して送ってくださるのですが、結構コミュニケーションに気をつけないと、提案や表現の幅が狭まってしまう可能性があります。

参考の度合いは人によって異なる

どういうことかというと、当たり前の話ですが希望イメージといっても希望の度合いはクライアントによって異なります。
本当に参考程度に思ってる人もいればかなり近いところまで似せてほしい(当然常識的な範囲でですが)と考えている人もいます。

2〜3サイトあり個々にこの部分の魅せ方がこういう理由で気に入ってるみたいなことがわかっていたり、ヒアリングできる状況なら問題ないですが、1サイトURLのみが渡されて終わりな状態だと、逆に参考にしづらかったりします。

これは制作側のコミュニケーションの問題にもなるんですが、このあたりのUXの五階層(link)でいう構造レベルで同じなのか、表層レベルで参考にしているのか理解しないままプロジェクトが進行すると「デザインに理論もなく(中途半端に)なんとなく似たWebデザイン」みたいな結果に陥る危険があります。

曖昧なデザインにならないために

もちろん参考のWebサイトをいただいた上で、ヒアリングしながら方向性を提案し導いていくのがディレクションの正しいあり方だと思いますが、クライアントからはあまり先入観のない、フィルターのかかっていない純粋な情報を引き出したいのも事実です。

そんなときにおすすめなのが、参考のイメージを用意してもらう前にこちらからWebサイトに限定しないようにお伝えすることです。

Webに限定しないといけないという縛りを解放すると、商品のコンセプトやイメージの原点に近いものをいただけます。

僕のケースだと、アップテンポの曲を聴かせてもらう場合もありますし、街の写真やぜんぜん違う業界の商品パッケージの場合も、CM動画やキャッチコピーの場合もあります。
「このCMを見て元気をもらった。うちの商品も世の中を元気にしたくて作っているのでそういった想いを伝えたい。」というお話を聞いて、当初のWebサイト制作の依頼からもっと根本の話になり、ブランディングから携わることになったケースもあります。(なんか怪しい成功事例みたいな話ですが)

そもそもWebデザインの専門家ではないクライアントが、専門家である僕たちのようにデザインのトレンドを背景とともに把握して、デザインギャラリーの様なサイトから自社の商品やコンテンツに最適なレイアウトやビジュアルを選定するということは不可能です。(というかそれはディレクターやデザイナーの仕事なのだと思います。)

Webサイトのデザインの決定というのは制作者の仕事ですし、仕事の一番おもしろい部分のひとつであると思っています。
ここがクライアントからの指示のような形になってしまうと仕事としてもおもしろみが欠けてしまいます。

楽しく、そして仕事である以上クライアントのビジネスにとって最適な答えを創り出すために、できるだけ無駄なフィルターのかかっていない情報をヒアリングできればと思います。

参考になれば幸いです。

KOJI MINOHARA

CEO / Shiro Inc.

KOJI MINOHARA